『昭和を動かした広告人』

「力道山・木村政彦VS.シャープ兄弟戦」「タイヤは生命を乗せている」
「サッポロ一番」「お邪魔虫」「ヤングOH!OH!」「音楽は世界のことば」…


電通、博報堂、萬年社の仕掛人が
初めて語る、昭和史の舞台裏。

978-4-7825-3416-8
戦後70年を目前に控え、日本のマスメディアはどこに向かおうとしているのか。
グローバル化の進展、インターネットの普及などにより激変する環境のなか大きな構造的転換点に立つ一方、戦後メディアの変遷を直接体験してきた世代は現役を退きつつあります。 昭和という激動の時代を動かしてきた広告人の証言記録を後世に残すとともに、未来への手がかりを探ることはできないか。
本企画では、歴史の担い手である「個人」に焦点をあて、電通、 博報堂、萬年社という戦後日本の広告代理店を代表する3 社で活躍されてきた広告人へのインタビューから、息づかいの聞こえる昭和史を重層的に描きます。
ジャンル
一般・その他  
タイトル
昭和を動かした広告人
著者・編者・訳者
土屋礼子著
発行年月日
2015年 7月 31日
定価
6,050円
ISBN
ISBN978-4-7825-3416-8 C0020
判型
A5判上製
頁数
288ページ

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著者・編者・訳者紹介

【著者】土屋礼子
1958年長野県生まれ。2001年博士(社会学)(一橋大学)。
現在、早稲田大学政治経済学術院教授。
専門はメディア史、歴史社会学。
著書に『大阪の錦絵新聞』(1995年、三元社)、『大衆紙の源流』(2002年、世界思想社)、 『対日宣伝ビラが語る太平洋戦争』(2011年、吉川弘文館)、
編著に『近代日本メディア人物誌-創始者・経営者編』(2009年、ミネルヴァ書房)、
共訳書に、スウィーニィ著『米国のメディアと戦時検閲』(2004年、法政大学出版局)がある。

内容

 昭和という時代が終わってからすでに四半世紀経つ。日本の歴史上、最も長い元号の昭和時代をどのように記憶し語り継いでいくのか。さまざまな方法があるだろうが、決して外せないのは昭和の後半期、戦後の高度経済成長とそれに伴い花開いた消費文化という一面であろう。心から平和を謳歌し、懸命に働いた日本の庶民が、明日はきっとよくなるとおおらかに信じ、新製品を買ったり、旅行を楽しんだりすることをささやかな夢や喜びとして、流行を楽しんだ「昭和元禄」とも呼ばれた時代。それは広告の黄金期でもあった。日本の企業が利益を上げ、新聞、雑誌、ラジオ、テレビの「マスコミ四媒体」が急成長するのに伴い、それを陰で支え演出したのが、広告人たちである。彼らの活躍により、かつてはまともな商売と認められていなかった広告業が一兆円産業になり、華やかな人気業界に一変した。
 このような戦後の広告界の変動は、内川芳美編『日本広告発達史』や、『萬年社広告100年史』など広告代理店の社史や、広告主による記述、媒体別の記述、また個人の回想録に記述されてきている。一方、広告業に従事した人びとに対する聞き取りとしては、渋谷重光『語りつぐ昭和広告証言史』(1978)が戦前・戦中から戦後まもなくまで活躍した人々の証言を記録し、また日経広告研究所編発行『証言で綴る広告史』(2001)が、占領期から1965年頃まで活躍した人々に対象を絞って、貴重な証言を集めている。しかし、もともと広告人は広告主の注文によって動く黒子であって、CMやポスターなどの制作物がメディアの表舞台に出ることはあっても、自ら語らないのを本分としているために、それ以降は広告人の証言やインタビューをまとめた類書は見あたらない。1980年代に広告のコピーライターやデザイナーがクリエーターとして脚光を浴び、自ら語ることもあったが、それは多くの広告人から見れば例外的な存在であった。
 本書は、そのような広告人・広告業界を代表する大手の広告代理店OBの方々にインタビューを実施した成果である。
(「まえがき」」より)


 

目次

【広告業界に巨大な足跡を残した13人が語る昭和史の舞台裏】


1 私が関わった戦後の広告は、金メダル級の内容だったと思います

萬年社 高木眞 一九二四年生まれ

2 あのフレーズは、ゴキブリ目線の哀しいユーモアなんです

萬年社 影山芙紀子 一九二七年生まれ

3 やはり電通という会社は、吉田秀雄の会社ですよ

電通 石川周三 一九三一年生まれ

4 目的は「コミュニュケーション」。「グッドデザイン」は手段に過ぎません

電通 田保橋淳氏 一九三一年生まれ

5 生きる元気や、生をそそのかすことが広告の大きな役割だと思うんです

電通 岡田芳郎 一九三四年生まれ

6 当時のAEは業界初。AE部はパイロット的な組織でした

博報堂 小宮山恵三郎 一九三四年生まれ

7 当時の使命はいかにスポンサーのところに滞在するか。電話一本で三〇〇万、五〇〇万の仕事が決まりました

萬年社 秋山晃衛 一九三六年生まれ

8 修羅場のような現場にも向かう――。広報には、そういう仕事もあるんです

博報堂 飯田尚武氏 一九三七年生まれ

9 アメリカの情報を基礎に、電通がいち早く広告・マーケティングの近代化を図ったんです

電通 北野邦彦 一九三七年生まれ

10 番組スタート時は叩かれましたが、成功すると PTAからも推薦されるようになりました

萬年社 冨増惠一郎氏 一九三七年生まれ

11 広告マンは、いつも時代の黒子のような存在なんで

す 博報堂 木倉資展 一九三八年生まれ

12 インディペンデントな会社のネットワークをつくる。それが「メガ・インディペンデンス」の思想です

博報堂 神保智一 一九四一年生まれ

13 博報堂の優位性は、目に見えない欲望に形を与える「ニーズデザイン力」にある

博報堂 升野龍男 一九四四年生まれ
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